にんにく臭?
慣れた手付きで、看護士さんがヒジの内側辺りへ点滴の針を刺し込む。
(うーん、以前、風邪をひいた時にうけた点滴となんら変わりはない。 当たり前と言えば当たり前か…)
ただ、だんだんと鼻の奥からにんにく臭というか、ゴムの焦げる臭いというか、
微妙な感じの臭いを感じるようになってきた。
まぁ、ちょっとニガテな臭いだが、耐えられないというほどでは無い。
目を瞑り、少しうつらうつらしていると、いつのまにか点滴が終わっていた。
時計を見ると、20分程経ったようだ。
「気分は悪くなかったですか?」
点滴の針を抜きながら、先ほどの看護士さんがそう声をかけてきた。
「多少ニガテな臭いでしたが、大丈夫です」
「患者さんによってはにんにくで無く、ごま油とか、ラー油っぽい臭いを感じるという方もいらっしゃいますね」
「なんとなくゴムが焦げるような臭いがしました」
「そうですか。それでは、受け付けでスタッフに声をかけてください」
そんな遣り取りがあった後、点滴室から受け付けへ向かった。
(このにんにく臭は周りには臭いませんし、30分もすると感じなくなります)
綿で傷口を押さえながら、受け付けで点滴が終わった旨を伝える。
「点滴終わりました」
「はい、それでは○○円になります」
「ありがとうございました」
治療費を支払い、病院を後にする。
あまり実感は無いけれど、これで元気100倍か!と思ったが、
看護士さん曰く、効果は一日後ぐらいから出てくるようだ。
まぁ、確かにそこまで即効性は無いよな。
治療を受けたという高揚感からだろうか、少々テンションが高いが、 そのまま真っ直ぐ家路を急いだ。
「ただいま」
「おかえりなさーい。ご飯できてるわよ」
食事を済ませると、仕事疲れもピークだったので、今日は早めに就寝する事にした。
にんにく注射(点滴)の効果をいろいろと夢見ながら…。