保証人になってしまったからといって、無抵抗ですべてを受け入れなければならないわけではありません。保証人という立場になるからには、最低限でも次の権利は知り、理解しておくべきだと思います。
■保証債務の付従性
主たる債務が無効になったり、取消されれば、それに伴いその保証人の義務は消滅します。またお金を借りている人が一部を返済して主たる債務の金額が少なくなれば、保証債務も同じだけ少なくなります。これを保証債務の付従性といいます。
■ふたつの抗弁権と保証債務の補充性
債権者が主たる債務者に対して請求するよりも、先に保証人に支払い請求をしてきた場合、保証人はまず主たる債務者に要求するように言う権利があります。これを催告の抗弁権と言います。
次に債権者が主たる債務者に催促した後で、保証人に支払いを要求してきたとしても、「主たる債務者には支払い能力があり、強制執行も可能であるため、まずその財産に対して執行して欲しい」と要求する事ができます。これを検索の抗弁権と言います。
これらのふたつの抗弁権は、主たる債務者に支払えるだけの資力がない場合においてはじめて保証人が支払う、という保証債務の補充性に基づくものです。
■分別の利益
債権者と主たる債務者との間の債務を3人で保証する場合、特別の取り決めがない限り、保証債務はこの3人の間で平等に分けて分担するという事になります。これを保証人間の分別の利益と言います。但し、この分別の利益を主張できるのは、通常の単純な保証の場合に限られ、連来保証の場合は主張できません。